法・制度について
■イギリス連邦
国旗のユニオンジャックに象徴されるように、フィジーもツバルもイギリス連邦の一員であり、現在もそれぞれ連邦内で独立している。しかし、政治体制は互いに異なっており、フィジーは大統領を元首に置く象徴大統領制、ツバルは英国女王を元首とする立憲君主制である。両国ともに長いイギリス植民地時代を経験しており、法制度をはじめとする様々な社会制度がイギリスの強い影響を受けており、それぞれ固有の言語を有するが英語を公用語としている。
フィジー諸島共和国の国旗 ツバルの国旗
■ フィジーについて
フィジーについて特筆すべきは、2大民族の軋轢とそれに伴う土地制度である。現在フィジーには先住フィジアンとインド系の大きく2つの民族が居住している。このインド系住民は、1879年から1916年にかけて、イギリスによる砂糖のプランテーション経営のためインドから契約労働者として移住してきた住民が定着したものである[1]。しかし、フィジーの土地は約83%が先住フィジアンによる共同所有地である。これは、フィジーがイギリス植民地であった1874年に、先住フィジアンの保護のため売買が禁止されてから現在も踏襲されている。この先住フィジアンの共同所有地をマタンガリ(matagali)という。
先住フィジアン以外の土地所有は厳しく制限されているが、所有には3つの方法がある。ひとつはフリーホールド・ランドという英国植民地時代以前にヨーロッパ人が購入した土地を購入する方法で、誰でも購入はできるが地価が大変高く、この面積はフィジーの土地全体の10%に満たない。次はクラウンリース・ランドという政府保有地を契約制で賃貸する方法で、この面積は全体の6〜7%を占める。3つ目はマタンガリを契約制で賃貸するネイティブリースである。土地所有をめぐっては、そのほとんどを所有するものの利用価値の低い土地に不満を持つ先住フィジアンと、所有面積は少ないものの利用価値の高い土地を持つインド系住民の間で、契約年数や契約金をめぐっての紛争が頻発している。
ツバルの法制度については、司法局のサアガ氏に聞き取りを行った。ツバルもイギリスの社会制度や法制度に強い影響を受けており、最高法の憲法には権利章典(Bill of Rights)が含まれる。また、現在ツバル政府は習慣法を明文化する作業を行っている最中であり、習慣法の中から必要と思われるものを国会で審議し、議会法として立法するという手法をとっている。
ツバルの社会制度で特筆すべきは宗教で、憲法で国教がキリスト教と定められている。当然、政教不分離でありキリスト教の教義(doctrine of Christianity)がすべてにおいて優先される。サアガ氏やツバル住民との聞き取りにおいても、「神がすべてを規定する」との発言がみられ、法治主義国家という意識はきわめて薄いと考えられる。
男女平等については、男女は人間としては平等であるが社会的には差があり、財産分与などに関しては男性が優遇・優先され、親権協議に至っては大半が男性側に有利になる。これは、職業を持つのがあまり一般的ではないツバルの女性事情により、女性が経済的に劣勢にあるからである。これに関して、権利章典の内容との相違が見られるが、解釈としては社会的性差の容認および「平等」の認識の違いであると考えられる。この事実上の男女不平等について、憲法改正等で是正する計画は現在のところ持ち上がっていない。
ツバルには政府の下部組織としての自治体は存在していないが、各コミュニティには地区長(chief)が存在し、地域の運営を行っている。また、紛争とまでは言わない地域住民の揉め事は、基本的には地区長が仲裁を行うが、それでも解決しなかった場合、カウポレと呼ばれる町議会(town council)が解決にあたる。

著:aki姉